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ベランダ・屋上防水の膨れの原因と補修|ウレタン・FRP別の見分け方

ベランダの床に、ぷくっと盛り上がった部分を見つけた。夏の午後になると、朝より大きく見える。こうした症状は、床を覆っている防水層の膨れであることが多く、「このまま様子を見ていいのか」「すぐ直さないと雨漏りするのか」と迷われる方が少なくありません。この記事では、三重県全域で外壁・屋根・防水工事を手がける山真塗装が、膨れができる理由、防水の工法によって違う膨れ方、早めに見てもらいたい膨れの見分け方、そして補修の考え方を整理します。

なお、外壁の塗装面にできる膨れは、原因も直し方も別のものです。そちらは外壁の膨れ・浮きの原因|塗装で直る症状と下地補修が要る症状で解説しています。

ベランダ防水の膨れとは|防水層の下に水分や空気がたまった状態

防水層の膨れとは、ベランダや屋上の床を覆う防水層が、その下にたまった水分や空気に押し上げられて、部分的に盛り上がった状態のことです。大きさは指先ほどのものから、手のひらを超えるものまであります。ウレタン防水では、押すとへこみ、手を離すと戻るような柔らかさを感じることが多くあります。一方、FRP防水のように硬い防水層では、押してもあまりへこまないこともあります。「柔らかくないから膨れではない」とは限らない点に注意してください。

中にたまっているのが水分の場合、日射で温められると水蒸気になって膨らみやすくなります。そのため、夏の日中に大きくなり、朝方や涼しい季節には目立たなくなることがあります。見えにくくなったからといって、中の水分がなくなったとは限りません。

▶ 膨れ=すぐ雨漏り、ではない。ただし破れやすい

防水層が破れていなければ、膨れができた時点で雨水が室内まで入るとは限りません。一方で、膨れた部分の防水層は引き伸ばされた状態になっています。洗濯物を干すときに踏む、植木鉢を引きずる、物干し台の脚が当たるといった日常の動きで破れやすく、破れたところからは雨水が防水層の下へ入り込みます。ベランダは人が出入りする場所だからこそ、屋上以上に「踏まれて破れる」ことを考えておく必要があります。

防水層が膨れる4つの原因

膨れの原因は、大きく分けて次の4つです。どれか一つとは限らず、重なって起きていることもあります。

▶ ① 下地に残っていた水分

コンクリートやモルタルの下地は、内部に水分を含みやすい素材です。これが乾ききらないうちに防水材でふたをすると、閉じ込められた水分が日射で温められて水蒸気になり、防水層を下から押し上げることがあります。国土交通省の「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」は、膨れの仕組みそのものを説明したものではありませんが、塗膜防水の施工について「プライマー塗りは、下地が十分乾燥した後に清掃を行い、ローラーばけ等を用いて当日の施工範囲をむらなく塗布する。」(9.5.4(2))と定めており、下地を乾かしてから塗ることが前提になっています。

▶ ② 端部やひび割れから回り込んだ雨水

防水層は、床の平らな面より、壁との境目(立ち上がりの端)、排水口のまわり、手すりの根元、掃き出し窓の下といった継ぎ目で傷みやすくなります。ここから入った雨水が防水層の裏側に回り、温められて膨れになることがあります。同じ場所が繰り返し膨れる場合は、この「水の入口」がどこかに残っている可能性があります。

▶ ③ 施工時の密着不足・空気の巻き込み

下地の汚れやほこりが残っていたり、下地と防水層をつなぐ下塗り材(プライマー)が不十分だったりすると、防水層が下地にしっかりくっつきません。FRP防水では、ガラス繊維のマットに樹脂を染み込ませながら重ねていく途中で空気を抜く工程があり、ここで気泡が残ると、後から膨れとして出てくることがあります。

▶ ④ 木造のベランダでは、下地の板の傷み

木造住宅のベランダは、床の骨組みの上に合板などの板を張り、その上にFRP防水をかけている例が多く見られます。どこかから入った雨水で下地の板が湿った状態が続くと、膨れのほか、床がぶかぶかする・一部が沈むといった症状につながります。この場合は、表面の防水層だけの問題ではなくなっている可能性があります。

ベランダは物の下が乾きにくい

屋上と違い、ベランダには物が置かれます。植木鉢やプランター、エアコンの室外機、物置、すのこや人工芝の下は、雨のあとも日が当たらず、湿った状態が長く続きます。水たまりが残りやすい場所も同じです。こうした場所は、防水層の傷みが進んでいても気づきにくいので、植木鉢やすのこ・人工芝など動かせる物は、年に一度はどかして床を見ておくと安心です。エアコンの室外機や物置のように重い物、配管がつながっている物は、ご自身で動かさず、点検の際にご相談ください。水たまりの原因になりやすい排水口の詰まりは、陸屋根・屋上の排水ドレンの詰まり|雨漏りを防ぐ点検と清掃で点検のしかたを紹介しています。

防水の工法によって、膨れ方と直し方が変わる

ベランダや屋上の防水には、いくつかの工法があります。どの工法で施工されているかによって、膨れの出方も、直し方の考え方も変わります。

▶ ご自宅の防水がどの工法か、見分ける手がかり

床の感触と見た目で、おおよその見当をつけることができます。ウレタン防水はゴムのような弾力があり、継ぎ目のないなめらかな仕上がりです。FRP防水は硬く、ガラス繊維の模様がうっすら透けて見えることがあります。シート防水は、シートの継ぎ目や、端を押さえる金物が見えるのが目印です。ただし、表面のトップコートの色や傷み方によっては見分けにくいこともあります。新築時やリフォーム時の資料に工法が書かれていれば、それがいちばん確かです。

※スマートフォンでは、表を横にスクロールしてご覧いただけます。

工法 主な場所 膨れとの関係
ウレタン防水
(密着工法)
ベランダ・屋上など 防水層を下地に直接くっつける工法。下地に水分が残っていると、逃げ場がないため膨れにつながりやすい
ウレタン防水
(通気緩衝工法)
屋上など、下地が水分を含みやすい面 下地との間に通気緩衝シートを挟み、脱気筒(脱気装置)から湿気を外へ逃がす。膨れを抑える目的で選ばれる
FRP防水 戸建てのベランダ(木造の板の下地に多い) 硬く丈夫な防水層。層の中に残った気泡や、下地の板の湿りが原因の膨れが出ることがある
シート防水 屋上・広いルーフバルコニー 接着が弱い部分や、シートの継ぎ目から入った水で、シートが浮き上がることがある

ウレタン防水の2つの工法は、前述の国土交通省の標準仕様書にも区別して示されています。表9.5.1では、ウレタンゴム系塗膜防水を「X-1(絶縁工法)」と「X-2(密着工法)」に分け、X-1の最初の工程に「通気緩衝シート張り」を置いています。一般に「通気緩衝工法」と呼ばれているのは、このX-1の考え方の工法です。そのうえで、脱気装置について次のように定めています。

種別X-1において、脱気装置の種類及び設置数量は、特記による。特記がなければ、主材料の製造所の仕様による。
(公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版 9.5.3(1)(イ))

この仕様書は、国の官庁施設などの工事で使われる標準的な仕様です。住宅の工事に適用が義務づけられているものではなく、塗膜防水の節(9.5)もコンクリート下地を対象にしています。そのため木造のベランダにそのまま当てはまるわけではありませんが、「下地の湿気を逃がす工法」と「下地に密着させる工法」がはっきり分けて扱われていることは、膨れの原因と対策を考えるうえでひとつの目安になります。工法ごとの特徴と費用の目安は屋根防水工事の費用相場と工法の違い|ウレタン・FRP・シートで比べています。

様子を見やすい膨れ・早めに見てもらいたい膨れ

膨れを見つけても、すべてが急ぎの工事になるわけではありません。あくまで目安ですが、次のように分けて考えると判断しやすくなります。

▶ 比較的、様子を見やすい膨れ

  • 数か所にとどまり、しばらく経っても数や大きさが変わらない
  • 膨れの表面に割れや破れがない
  • ベランダの下の部屋の天井や、軒裏にしみが出ていない

この場合も、放っておいてよいという意味ではありません。次の点検やトップコートの塗り替えのときに、膨れがあることを必ず伝えてください。膨れの上から仕上げ材だけを塗り重ねても、原因は残ったままになるためです。

▶ 早めに相談していただきたい膨れ

  • 膨れが破れている、表面に割れ目がある
  • 押すと水がにじむ、周りより湿っている
  • 見るたびに数が増えている、大きくなっている
  • 床全体がぶかぶかする、歩くと沈む場所がある(沈む場所には体重をかけず、物も置かないでください)
  • ベランダの下の部屋の天井や、軒裏にしみがある
  • 壁際や排水口のまわりに膨れが集まっている

とくに床が沈む・下の部屋にしみがあるという症状は、防水層の下で雨水が動いているサインであることがあります。ベランダの真下が部屋になっている間取りでは、室内への雨漏りにつながりやすくなります。

※夏の晴れた日中は、防水層の表面がかなり熱くなります。素足や素手で確かめるのは避け、確認は朝や夕方の涼しい時間に行ってください。

膨れの補修は「部分補修」と「工法の見直し」に分かれる

膨れの直し方は、膨れがどれくらい広がっているか、下地が何でできているかで変わります。

数か所の膨れは、切り取ってから補修するのが基本

膨れが限られた範囲にとどまっている場合は、膨れた部分を切り取り、中の水分を乾かし、下地を平らに整えてから、防水材を重ねて仕上げるという流れが基本になります。これは補修工事として行う作業です。ご自身で膨れを切るのは避けてください(理由は後述します)。

膨れを切り取ってから次の工程に進む、という考え方は、国の改修工事の基準にも見られます。国土交通省の「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」は、既存のウレタン塗膜防水層の上に防水層を新しくかけ直す改修(L4X工法)の下準備として、膨れの扱いを次のように定めています。

(c) 既存防水層の破断、穴あき箇所の浮き部分及びふくれ部分は、切除し、ポリマーセメントモルタルで平滑に補修する。既存防水層の劣化によるチョーキング部は、デッキブラシ等で水洗いを行う。
(d) (c)により損傷箇所等を補修し、乾燥後、層間接着用プライマーを塗布する。
(公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版 3.2.6(3)(カ))

これは防水層を全面にかけ直す改修の手順で、部分補修だけを定めたものではありません。それでも、膨れは切り取り、平らに補修し、乾かしてから重ねるという順番がとられています。膨れを残したまま上から塗り重ねると、新しい防水層ごと押し上げられてしまうおそれがあるため、この順番は大切です。この仕様書も官庁施設の改修工事の基準で、住宅に適用が義務づけられているものではありませんが、住宅の補修を考えるうえでもひとつの目安になります。

全体に広がっているときは、工法の見直しも含めて検討する

同じ改修の仕様書では、既存のシート防水や露出アスファルト防水を残して改修する工法について「既存防水層のふくれや浮きが全体にわたる場合は、監督職員と協議する」とも書かれています。膨れが全体に広がっている場合は、決められた部分補修の手順だけで進めず、個別に判断するという扱いです。

住宅でも、膨れが床一面に出ている場合は、部分補修を重ねるだけでは追いつかないことが多く、防水の工法から見直すことも含めて検討します。コンクリートやモルタルの下地で、下地の水分が原因と考えられる場合は、湿気を逃がせる通気緩衝工法への切り替えが選択肢になります。木造のベランダで下地の板まで傷んでいる場合は、防水層をはがし、下地の板を張り替えてから防水をかけ直す必要が出てくることもあります。どちらになるかは、既存の防水の種類と、下地の状態を実際に確かめてから決まります。

同じ場所が繰り返し膨れるなら、水の入口から直す

一度補修した場所が、またしばらくして膨れてくる場合は、原因②の「水の入口」が残っている可能性があります。壁との境目の端部、排水口のまわり、掃き出し窓の下などを確かめ、入口を止めてから膨れを補修する順番にしないと、同じことが繰り返されます。防水そのものの点検やメンテナンスの周期は、ベランダ・バルコニー防水は何年ごと?メンテナンス周期と塗り替え時期で整理しています。

膨れを見つけたとき、ご自身でしないでほしいこと

膨れは気になるものですが、次のことは補修をかえって難しくすることがあります。

▶ 針やカッターで穴を開けない

中の空気や水を抜けば一時的に平らになりますが、開けた穴はそのまま防水層の切れ目になります。次の雨で、その穴から防水層の下へ水が入り込むおそれがあります。

▶ 市販の防水塗料を上から塗って隠さない

見た目は整っても、膨れの原因である下の水分は残ったままです。上からふたをすることで、かえって水分を閉じ込めてしまうことがあります。後から原因を調べるときにも、どこが膨れていたのか分かりにくくなります。

▶ 膨れの上に重い物を置かない

植木鉢や物干し台の脚がちょうど膨れの上に乗っていると、そこから破れやすくなります。動かせる物は、膨れを避けた位置へ移しておくと安心です。

▶ ご自身でできること

一方で、ご自身でできることもあります。安全に立ち入れるベランダや屋上で、手の届く範囲の排水口のごみや落ち葉を取り除き、水たまりが残らない状態を保つこと(はしごが必要な屋上や、手すりの低い屋上では無理をなさらないでください)と、膨れの位置と大きさを、日付が分かる形で写真に残しておくことです。写真があれば、膨れが増えているのか、変わっていないのかを後から比べられ、点検のときの判断材料にもなります。

ベランダ防水の膨れについて、よくある質問

▶ Q. 膨れがあると雨漏りしますか?

A. 防水層が破れていなければ、すぐに室内まで雨水が入るとは限りません。ただし、膨れた部分は破れやすく、破れたところからは水が入ります。また、膨れの原因が端部やひび割れから回り込んだ雨水である場合は、すでに防水層の下に水が入っていることになります。

▶ Q. 夏だけ膨れて、冬になると目立たなくなります。直ったのでしょうか?

A. 中の水分や空気が温度で膨らんだり縮んだりしていることが多く、原因は残っている可能性があります。目立つ季節に写真を撮っておき、点検の際にお見せいただくと状況が伝わりやすくなります。

▶ Q. トップコートで直りますか?

A. トップコートは防水層の表面を紫外線や摩耗から守る仕上げ材で、防水層の下にある膨れの原因を取り除くものではありません。膨れがある場合は、塗り替えの前に膨れの補修が必要かどうかを確かめることになります。

三重県でベランダ・屋上の防水の膨れが気になったら

山真塗装は三重県津市を拠点に、三重県全域でベランダ・バルコニー・屋上の防水工事を行っています。ウレタン防水・FRP防水・シート防水などの工法に自社の職人が対応しており、無料の現地診断も行っています。

膨れは、同じように見えても、原因が下地の水分なのか、どこかから入った雨水なのか、下地の板の傷みなのかで、必要な工事が変わります。現地では、膨れの位置と広がり、端部や排水口まわりの状態、下地の種類を確かめたうえで、部分補修で足りるのか、工法から見直すべきなのかを、写真をお見せしながらご説明します。防水工事の内容は外壁屋根防水のページでもご案内していますので、お気軽にご相談ください。

出典:国土交通省ウェブサイト「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」9.5.1、9.5.3(表9.5.1)、9.5.4(2)/国土交通省ウェブサイト「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」3.1.4(表3.1.1)、3.2.6(3)。いずれも2026年9月14日確認。本記事では、これらの内容の一部を引用し、要約・編集して紹介しています。いずれも官庁施設の工事の基準であり、住宅の工事に適用が義務づけられているものではありません。

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